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【最終回・事例】 「自分自身が成長できると感じた」:トップの認識を静かに変えた一通のメールと、組織変革の最初のサイン

■はじめに

これまでのブログでは、私が行っている組織診断の考え方、そしてなぜトップの変容や意味づけが重要なのかについてお伝えしてきました。

第2回でもお伝えした通り、組織が変わるとき、最初に変わるのは「制度」ではなく「トップの認識」です。

今回は、実際の支援の中で、トップの認識が動き始めた「具体的な瞬間」を証明してくれた出来事を一つご紹介します。
きっかけは、結果報告のあとに届いた「一通のメール」でした。

■組織診断:データではなく「前提と可能性」を伝える報告の場

その企業では、組織診断の結果をもとに、経営層向けの報告を行いました。
私がこの場で大切にしているのは、正解や改善策を並べることではありません。

• なぜ、この結果が出ているのか。
• これまで、どんな前提や判断が組織を支えてきたのか。
• そこに、どんな可能性が眠っているのか。

こうした点を、丁寧に言葉にしていきます。

お伝えしたのは、誰が悪いか、何が足りないかではありません。
なぜ今のやり方がここまで組織を支えてきたのか、なぜ今、変化の兆しが見えているのか、その意味を言葉にしました。

■トップの表情ににじんだ「静かな納得」

報告の途中で、経営トップの表情が少しずつ変わっていくのが分かりました。
驚きや動揺ではなく、「思い当たる」「確かにそうかもしれない」という静かな納得がにじむ表情でした。

これは、単なるデータへの理解ではなく、「今まで当たり前だと思っていた組織の見方」が静かに揺さぶられ、新しい認識が生まれ始めた瞬間です。

■変化の始まりを告げた「一通のメール」

結果報告からしばらくして、トップから一通のメールが届きました。
そこには、次のような内容が綴られていました。

• これまでとは違う切り口だったこと。
• 組織の見え方が変わったこと。
• 自分自身の向き合い方を考え始めたこと。

そして特に印象的だったのは、「自分自身が成長できると感じた」という言葉でした。

■組織の変化は、制度ではなく「トップの成長意欲」から始まる

このメールを読んだとき、私は、変化が始まったと確信しました。制度や計画が変わったわけではありません 。しかし、トップの認識が確かに動いていました。

組織変革とは、誰かを動かすことではありません。人が自分で気づき、考え、動き始める環境をつくること 。
そのために、まずトップ自身が「この診断から学び、成長できる」という主体的な姿勢を持てたことが、何より重要だったのです。

特別なことをしたわけではありません。

• トップから始めたこと。
• 人ではなく、構造と関係性を見たこと。
• 結果を意味として言語化したこと。

その積み重ねが、トップの内側に「成長の可能性」を生みました。

■組織は、静かに、しかし確実に動き出す

組織の変化は、いつも静かに始まります。

問いが変わり、会話が変わり、空気が変わる。
その積み重ねが、やがて行動となり、成果につながっていきます。

一通のメールが教えてくれたのは、トップの「認識」が動いたとき、組織は必ず前に進むということです。

■【本日のキーメッセージ】

• 組織変革の最初のサインは、具体的な行動ではなく、トップの「静かな納得」である。

• 診断結果は、「責め」ではなく、「意味」として言語化することで力を発揮する。

• 組織を動かす鍵は、トップに「自分自身が成長できる」という主体的な認識を持たせることである。

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