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【第1回:考え方】 組織が変わらないのは人のせいではない。「組織診断」で可視化する構造と関係性の3つの視点

■はじめに

私は現在、経営診断アドバイザーとして、企業や組織の支援に携わっています。
また、ICM(理想の職場づくり)デザイナーとして、「人と組織が、無理なく、しかし確実に変わっていく仕組み」を現場で設計・実装してきました。

最近、「組織診断」という言葉を耳にする機会が増えました。
一方で、「何をされるのか分からない」「評価や査定のようで不安」「結局、精神論ではないのか」と感じておられる方も少なくないのではないでしょうか。

そこで今回は、私が行っている組織診断について、「何を目的に、何のために、何を、どのように行うのか」 、その前提となる考え方を丁寧にお伝えしたいと思います。

■診断の目的は「評価」ではない。「対話の土台」をつくること

まず最初に、最も大切なことをお伝えします。

私が行っている組織診断は、人を評価したり、優劣をつけたりするためのものではありません。誰かを責めるための診断でもありません。

目的はただ一つです。
組織の現状を、経営者・経営層・現場が同じ現実として共有し、前に進むための「対話の土台」をつくること。これが、私の組織診断の出発点です。

■組織を変えようとしても変わらないのは、なぜか?

多くの企業で、「人は悪くないと思う」「でも、なぜか活気が出ない」「頑張っているのに、成果につながらない」といった声を耳にします。

こうした状態の多くは、人の問題ではなく「構造」の問題です。
承認されにくい、評価が見えにくい、意味が共有されていない。そのような構造の中で、人が力を出しにくくなっているケースが少なくありません。

私の組織診断は、この「構造」を可視化することに主眼を置いています。

■見ているのは「人」ではない。「構造と関係性」の3つの視点

診断では、個人を特定したり、誰かを名指しすることはありません。
見ているのは、「この職場は、人が力を発揮しやすい構造になっているか」という一点です。

具体的には、データと対話の両面から、以下の3点を見ています。

1. 心理的な安全性:この職場で人は安心して働けているか。

2. 承認・報酬の可視化:自分の仕事が認められていると感じられているか。感謝や承認が日常の中で行き交っているか。

3. 協働の仕組み:育て合い、協働する関係性が育つ構造になっているか。

■組織変革の結論:トップの認識と「意味づけ」が全てを決める

そして、組織診断の結果報告で、必ず明らかになる2つの結論があります。

1. 変化は必ずトップの「認識」から始まる
 
組織を変えるために最初に変わるべきは、制度ではなくトップの「認識」です。
組織をどう見ているか、人をどう捉えているか、何を大切にしているか。この認識が変わることで、組織に流れる「暗黙の基準」が変わり、変化は経営層、管理職、現場へと波及していきます。

2. 人を動かすのは「意味」と「存在意義」

組織の力を決めるのは、「会社の存在意義」がどれだけ深く共有されているかです 。
また、人は気合いや精神論ではなく、意味が分かれば分かるほど頑張れます。診断結果を「なぜ、今この課題が見えているのか」「なぜ、それが未来につながるのか」と意味づけることで、感情が動き、行動が変わります。

(※この2点の詳細な論理は、次回の【第2回:変革の論理】でお伝えしています。ぜひ続けてお読みください。)

■組織診断は、未来をひらくための「対話の装置」

私が行っている組織診断は、組織を裁くためのものでも、誰かを追い込むためのものでもありません。
組織が、自分たちの力で前に進むための「対話の装置」です。

人や組織は、やり方によって、確実に変わります。

このブログ連載では今後、守秘義務に配慮しながら、実際の支援の中で起きた変化や気づきについてもお伝えしていく予定です。
必要な方に、必要な形で、この考え方が届けばと願っています。

【本日のキーメッセージ】

• 組織診断の目的は「評価」ではなく、「対話の土台」をつくることである。

• 組織の課題は、「人」ではなく、「構造と関係性」の問題である。

• 組織の力を発揮しやすい構造を見るための3つの視点:心理的な安全性、承認・報酬の可視化、協働の仕組み。

• 変革は、制度ではなく、トップの「認識」の変化から始まる。

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