今日、私は二つの小さな出来事を体験しました。

一つ目は、午前中に自宅を訪れた国勢調査の調査員。
男女二人が玄関先に現れ、名乗ることも立場を説明することもなく、
「５年に一度の国勢調査です。これは義務ですから、やってください。」
とだけ言って、書類を妻に渡して去っていきました。

二つ目は、市内循環の100円バスでのこと。
途中から乗車してきた調査員らしき人が、他の乗客に
「どこの停留所で降りられますか？」
と尋ね、記録を取っていました。
やがて私にも同じ質問。
「なんでしょうか？」と尋ねると、
「調査です。どこで降りられますか？」との返答。
そこでこちらからさらに問いかけ、ようやく市の交通政策課が行う調査だと分かりました。

二つの出来事に共通していたのは、「自分の仕事を果たすこと」にだけ集中していたということです。

目的や意義、誰のために何をしているのかを、相手に伝える姿勢が見えない。
その行為が公的なものでも、受け手としては唐突で不安が残ります。

その瞬間、私は考えました。
多くの社会人が、同じような状態に陥っていないだろうか。

自分の役割やタスクをこなすことに精一杯で、
仕事の意味や社会に与える価値を相手に伝えることを忘れてしまう――
そんな視野の狭さに、はっとさせられました。

心に浮かんだのが、この一言です。
「一人称では仕事にならない。三人称で仕事になる。」

「一人称」とは、「私がやるべき仕事」「自分のノルマ」だけに意識を向けること。
それだけでは、相手や社会に価値を届ける“仕事”にはならない。
「三人称」とは、第三者の目線で見ても意味や価値が伝わる仕事。
自分と相手の関係を越えて、社会の誰もが「その仕事には意義がある」と語れる状態です。
仕事とは、第三者が語る物語の中に価値が宿る――そう感じたのです。

この気づきは、私自身への問いかけでもあります。
日々の仕事の中で――
•　その目的を相手にきちんと伝えているだろうか。
•　自分だけが理解して満足していないか。
•　第三者が見ても価値を感じられるようにしているだろうか。

「一人称では仕事にならない。三人称で仕事になる。」

この言葉は、自戒であると同時に、
社会人としての仕事のあり方を見つめ直す合図だと感じています。

今日のささやかな体験が、明日からの自分の働き方を問い直す大きなヒントとなりました。